レシピ本を買わなくなって随分経つ。
以前はレシピ本買いあさっていた。レパートリーが少ない、味付けがうまくいかない、そもそも食事作り自体が面倒で少しでもラクにこなせるアイデアが欲しかった、というのが購入の動機。しかも写真が非常にキレイで食欲をそそるように撮られているため、読むだけで自分がデキる主婦になったかのような錯覚すらできてしまうというオマケつき。
が、レシピ本を書いている料理研究家というのは、大体が料理好きが高じてその道に入った人たちだから、実はあまり参考にならない。いくら「カンタン、手間なし」ってキャッチフレーズがついてても、「えっ、それは結構な手間ですよね?」と言いたくなるものが殆ど。料理なんて毎日毎日面倒だわ・・・というのが本音の主婦にとって、レシピ本に書かれていることを日々実践するのはハードルが高過ぎる。そのことに気がついて、レシピ本を購入するのはパッタリやめた。
書店にて「もうレシピ本はいらない」を見たとき、帯の「作りおき不要、準備は10分!」に興味を引かれてパラパラ読んでみたら・・・ついつい読みふけってしまい、気づいたらお買い上げ。稲垣さんの食生活なら確かにレシピ本要らず。鍋でご飯を炊く様子や、ぬか漬けに試行錯誤する様子、旬の野菜の威力にビックリする様子・・・臨場感タップリに描かれている。「実録・一汁一菜生活」みたいな感じ。冷蔵庫も炊飯器も無くても、シンプルな汁・飯・香なら十分作ることが出来るんだ、ということを、稲垣さんが身をもっ面白がりながらて伝えている。
土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」、稲垣さんがこの本で言いたかったことは。「あくまで家庭料理、お店でお客に食べさせるものじゃないんだから、いつも同じ味じゃなくていいしワンパターンでいいじゃないか。そしてそれは別にムズカシイことじゃない」ということだと思う。
「飽食の時代」と言われるようになって久しい。年がら年中「ハレの日料理」ばかりで、作る方も食べる方もくたびれてきて、土井さんの本や「レシピ本はいらない」などの本の登場は時代の要請なのかも知れないなぁ。
2017.11.3の記事を改訂、カテゴリー変更