もう長いことライフスタイル系の本を読むことはなかった。
永らく「自分がラクできてなおかつシンプルな暮らし方」を求め続けていたので、沢山その方面の本やブログを読み漁ってきて・・・ある時、
「大体似たようなこと書いてあって、自分の志向性と似ている所が多いから読んでて安心するけど、人真似ばっかりしててもしっくりこない。あとは自分流でやろう」
と思い。以降その手の本じっくり読むことはなかった。なので今回このウー・ウェンさんの本も書店で流し読み・・・だけのつもりだった。が、どうしても気になって買ってしまった。Amazonに無いようなので、リンク先は楽天ブックス⇓⇓
ウー・ウェンさんは北京出身。長く日本で料理研究家として活躍されてきた方で、ワタシも昔図書館でレシピ本を借りたり、料理番組で見かけることもあった。パキパキと溌剌な方だなぁ、という印象。
で、読了後。印象通り溌剌とした文体、そしてご家族、日々の生活をとても大切にされていらっしゃるのだなぁ、と暖かい気持ちになった。そして、タイトルの通り「本当に大事なことはほんの少し」なんだよなぁ、と改めて自分のことを振り返った。ワタシにとって、本当に大事なこと・・・好きなことが出来る時間、健康、家族かな。
「毎日すること」「食べること」「整えること」「生きること」の4つのパートの中で一番ページ数が割かれ充実しているのは、料理研究家らしく「食べること」について。
家で作りたいのは、あまり味がなくて、素材の味がわかる料理です。(中略)私の言う「味がない」とは、「味をつけ過ぎない」ということです。(p66)
ここなどは土井善晴さんのいう「家庭料理はおいしくなくてもいい」にも通じるところなのかな・・・と思った。確かにこの本に載っているいくつかのレシピは1つの野菜をどこの家にもある調味料で調理、味つけするシンプルなものばかり。でも十分においしそうだし、飽きずに食べることが出来、身体にもお財布にも優しそうだ。お腹を満たし、エネルギーをチャージするのに、凝った複雑な味付けの料理である必要はないのだな・・・。
ところで「回鍋肉(ホイコーロー)」って、読んで字の如く「肉を再び鍋に戻し入れる」=「鍋に回帰する」から「回鍋肉」なんだそう!!本来は茹でたり蒸したりしたかたまり肉を必要な分だけ切って、1種類の野菜と炒め合わせるのが本来の作り方なのだそうだ。だから野菜はキャベツに限らなくていいし、味付けも甜麺醤じゃなくてもよい。ウーさんのレシピでは生姜焼き用のスライス肉をさっと茹でたものを「鍋に戻し入れ」、1つの野菜と炒め、合わせる野菜により調味料も変えている。
「生きること」という短い章では、外国人であるウーさんがご主人に先立たれ、幼い子どもたちを育てていた時代のことなども。お金や時間のない中で、物事の考え方やものとの付き合い方もどんどんシンプルになっていった、と書かれており、大変な経験をプラスに捉えながらこれまで歩んできたのだなぁ、とジーンときた。
久々に、素敵なエッセイを読ませてもらったなぁ。