やんごとなき姫君たちのトイレ

 わあ。

 この本図書館で借りて読んだんだけど、ソフトカバー版の表紙イラストはカラーでなかったが・・・(汗)。

 

で、サブタイトルが「西洋かわや物語」。

要は西洋の王侯貴族の私生活、とりわけトイレや性生活などの「シモ」関係やお風呂、ファッション、化粧などの珍妙エピソードがこれでもかと満載になった1冊。

 

いやぁ、コレを読んでてつくづく思った。

現代日本は好きな時間にシャワーを浴びたりお風呂に入れる環境があり、どこのトイレも大体清潔が保たれている。悪臭もない。いい時代だよなぁ。

 

あのベルサイユ宮殿にトイレがないのは有名な話で、貴族や貴婦人たちは穴あき椅子で用を足したり、それもなければ廊下や部屋の隅、庭の茂みで用を足したらしい・・・と聞いて、「オエエエー」となるのは当然だろう。王様は専用のトイレを持っていたらしいけど。清潔好きな者は携帯用便器を持ち歩いていたけれど、そこはさすがのお貴族サマ、用を足した後のブツは従者が庭に捨てたと言うから、さぞかしベルサイユは糞尿の臭いが立ち込めていたんだろうなぁ・・・。

 

でも何もフランスに限った話ではなく、他のヨーロッパの国でも街中では糞尿ばら撒き処理だった。それに日本の城でもトイレは床に抜けた穴に垂れ流しだったりしたようで、城内から堀の石垣まで穴を掘り下水にして流していたと言うから、堀端に鳥なんか来なかっただろうと思われる。それに将軍や大名の正装である長袴などは一人で着脱できない代物だから、尿筒と呼ばれる尿瓶のようなものを携帯し、それを持つ専門の係がいたと言うから驚きだ。個人的には室町時代から江戸時代末まで、将軍の尿筒一筋に生きてきた土田家という家系に興味が湧いた。将軍の尿筒持って仕える仕事が世襲制って、親は子供にどんな風に仕事のことを伝えていくんだろう・・・。

 

でも、こういうシモやエロから歴史を知るのも悪くないと思う。結局威厳ある王様も、優美な貴婦人も生理現象は必ずあるし、大なり小なり装うことで自分をよく見せたいという気持ちは普遍的なものだというのがよくわかる。使った金額に度肝を抜かれるけれど。ルイ15世の公式寵姫、ポンパドール侯爵夫人の年間化粧品代は現代日本園に換算すると1億円以上はゆうに超えたと書いてあって、「家建つわ!」って思うのはワタシだけじゃないだろう。

 

それにしてもリンク貼ったのは角川文庫版なんだけど、図書館で借りた本は1992年初版のTOTO出版から出たもの。これって・・・あのTOTOなんだろうか?