お気楽ミニマルライフ

パートのオバハンがラクな暮らしを追求するブログ

女王フアナ

以前の記事にも世界史や歴史上の人物の解説動画にハマっている事に触れたけれど、それがきっかけになってその方面の本も読むようになった。

 

今回読んだのはこの本。 

 

夫を愛し過ぎるあまり、「狂女フアナ」と呼ばれた女性の悲劇の一生・・・と一言で言うにはフアナの人生はあまりに壮絶。現代の感覚だと「ほんまかいな?」と言いたくなるようなエピソードの数々で、スペインでは伝説化していて映画やドラマになっているのも頷ける。夫の亡骸を棺ごと運んで国中を何年も(数日説もあり)彷徨うとか、凄すぎる・・・。

 

カスティーリャ女王とアラゴン王との間に生まれたフアナは、ハプスブルグ家の跡取り息子で美形で名高いフィリップ美公と16歳で政略結婚をする。初対面でお互いに一目惚れして激しく恋に落ち、すぐさま子供にも恵まれる2人。

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フィリップ美(笑)公 wikipediaより引用

 

しかし、子供を生んでもなおフィリップにのめり込んでいくフアナとは対象的に、女好きの浮気性なフィリップは早々にフアナに飽きて、宮廷の女官や侍女たちと浮気を始め、悪所に通う。フアナは嫉妬に苦しみ精神のバランスを崩していく。フィリップの浮気相手の侍女の髪の毛を切り落とした挙げ句重症を負わせてしまうなど、激昂することもあった。

 

王位継承権を持つ兄弟たちが早逝していき、フアナにカスティーリャの王位継承権が回ってきた。フアナとフィリップはカスティーリャ女王イサベルに呼ばれてカスティーリャへ。そこでフィリップは妻の精神異常を理由にイサベル女王やアラゴン王フェルナンドに「自分こそが王位継承者」と王位継承権を要求する外道っぷり。しかもカスティーリャ堅苦しい雰囲気を嫌い、身重の妻を置いてサッサとネーデルランドに帰ってしまう。益々精神不安定に陥るフアナ。

 

イサベル女王はフィリップに君主の資質がないことを見抜き、フアナが統治不可能な場合、フェルナンド王が摂政となりフアナとフィリップの息子カルロスが成人するまで政務を執るようにと遺言を残し、崩御。フィリップはあの手この手でフアナが王位継承権を放棄するようにと働きかけ、父のフェルナンドもカスティーリャの実権を握るべくあれこれ策略を巡らせるのだけれど、フアナがカスティーリャ王位につく。フィリップは妻との共同統治を主張するのだけどこれも議会から認められなかった。

 

・・・とここまではフィリップ美公のゲスっぷりがすごいんだけど、あっけなく死んでしまう。死因は生水にあたって中毒死。フィリップの死を受け入れられないフアナはフィリップの棺とともにカスティーリャ国内を数年もさまよい歩く。やんごとなき姫君ゆえ当然お付きの従者が一緒なわけで。従者たちが気の毒ー。

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※フランシスコ・プラディーリャ「狂女フアナ」1877年の絵画 wikipediaより引用

 

 1508年にフアナは父王によってトルデシリャスの城館に幽閉され、以後「狂女」と呼ばれて忘れられた存在になっていく。40年以上の幽閉生活を送るのだけど、死ぬまでずっと退位せず。「我、女王」と署名した手紙を書いたこともあった。

 

・・・というフアナの人生なんだけども、いくつか疑問もある。

 

  1. 本当に何年も棺と一緒に彷徨ったのか?せいぜい数日数週間じゃないのか?
  2. フィリップ存命中に王位継承権だけは頑なに守ったのはなぜか?また、幽閉されてて政治力は行使できないのに退位しなかったのはなぜ?
  3. フアナはどこまで精神に異常きたしていたのか?

 

 1に関しては諸説あるらしい。

2は、並の女性なら言われるがまま情に流されホイホイと王位継承権を渡してしまいそうなもんなのだけど。「それとこれとは別!」っていう分別がちゃんと働いていたのかな。だとしたらむしろ、単なる気性の激しい女性という程度で、別に異常でも何でもなかったんじゃないのかなー、むしろ有能だと思うのだが(というかフィリップが愚かすぎるのか)。

 

今となっては真相はわかるはずもないけど、父王フェルナンドが実権を握るべく娘を「狂女」に仕立てたんじゃないかなーと。幽閉生活とはいえ40年以上ともなると、生活はそれなりに良かったのかもしれない。

 

さてこの本、時系列に話が進むのでわかりやすいんだけど、やや味気ない文章でちょっと教科書的な感じもする。ドラマチックさを求めると肩透かしを食うかも。 

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フアナ wikipediaより引用